2017.12.23 midi版をアップ 約21分の曲です。
当時の指揮者宅で原譜が見つかりました。
さっそく郵送してくれました。
作曲時を振り返りたく midi化 してみました。
音が出ない場合はこちら→ここ
(BGM型では再生できない場合の方法です)
以下は「マンドリン演奏版」の頁と同じです!
2017年12月2日
第61回定期演奏会OBルームで、シナリオの作者であり、指揮をしてくれたK君と遭った。
スコアが出てきましたとのこと!
今日送りましたとのメールがありました。
先日は久しぶりにお会いできて懐かしかったです。
スコアですが一年程前整理中に出てきました。
もっと早くお送りすれば良かったのですが遅くなり申し訳ありません。
本日送らせていただきました。
「風鈴」は小生にとっても大切な思い出です。
良い曲を有難うございました。
川西H夫
12月4日、郵送されてきた、几帳面に書かれたスコアを手にしました。
我ながらその細かさに驚きました。
現在フィナーレに入力しながら、当時の曲に対する考え方などを探っています。
作詞及び指揮:4年後輩の川西君 作曲:私 |
和歌山大学マンドリンクラブ第16回定期演奏会(昭和47年秋) 指揮者だった川西君に依頼され私が作曲しました。 後輩たちの演奏です。 以下は「ひとりごと」からの抜粋です。 20代に定期演奏会用の約20分のマンドリン合奏曲を作った。 シナリオに合わせた小曲の寄せ集めだったけれど、 今も好きでたまに聴きます。 いろんな想い出が詰まっています。 後輩の指揮者君の作ったシナリオに曲をつけました。 「風鈴はもうつるさない」というタイトルで、 冬山で遭難した彼を風にたとえ、 「風が吹かなければもう風鈴は鳴りません」という 彼女の言葉で終わる物語です。 残念ながら、苦労して作ったスコア(総譜)は行方不明となっています。 いつかテーマだけでもギター曲で再現したいと思っています。 (2006.4.10 マンドリン演奏そのものをアップしました。) 当時の曲目解説のコピーが手に入りました。 彼女がふるさとに戻ってくるところから物語りは始まります。 素朴なメロディーのテーマが流れ、 時折風を運ぶ風鈴の音がひびき、 その音が彼との想い出を回想させていきます。 軽やかな2拍子のメロディーは、さわやかな初夏の朝を思わせ、 彼との出会いが語られます。 二人の間に恋が芽生え、高まってゆく。 ゆったりとした3拍子、そして美しいメロディは 二人の高まってゆく過程を表わし、 共に過ごした高原での自然色の愛のハーモニーの頂点にまでもってゆきます。 しかし次第に不安定な旋律が流れ、 小さな陰りが二人を襲います。 彼女はそんな陰りを 「気のせいなんだ」と否定しようとしますが、 不安はだんだん大きくなり、 遂に彼は去ってしまうのです。 「きっと帰る」と信じた彼女のもとに帰ってきたのものは、 手垢で汚れた1冊の手帳でした。 以後手帳によって彼の葛藤が語られる。 夢を遂げること、それによって彼は自分の存在を確認でき、 青春を実感しえたのです。 自己を曖昧にして愛を語ることは、彼にとって耐えられなかったのです。 真実の愛を育て上げるためにも、 また、確信に満ちた両腕で彼女の愛に応えるためにも、 それは果たさねばならないことだったのです。 死の危険が同居していても、 死を恐れて青春を捨てることはもっと悲しいことでした。 曲は目ざす山を目前にした時の緊張感、 登り始めてからの風景など登山中の情景を追っていく。 そして吹雪。 寒さがきつく、死が膚を覆いはじめる。 死の直前に襲う陶酔感、 そんな気持ちが彼女を思い出させ、幻覚を引き起こす。 彼女がウェディングドレスを着た姿を見る。 しかし瞳に映った彼女が遠く消えていった時、 曲は彼の死を告げた。 再び最初のテーマが流れ、舞台は帰ったばかりのふるさとに戻る。 風鈴が鳴っている。 2年前、彼女が風の音を聞くためにつるした風鈴。 ”あなたが風で私は風鈴” ”風が吹かなければもう鳴りません” 彼女の最後の言葉で曲は終わりを告げます。 2013年7月19日 シナリオの作者でもある当時の指揮者川西くんが、 幹部役員に宛てたメモが見つかりました。 東京のG君がわざわざ送ってくれました。 川西くんにとっては自作のシナリオへの曲付けを、 私のような未熟な先輩に託したのですから、 幹部役員を説得必要があったのでしょうね。 以下は川西君へは事後報告するつもりで、 このメモを書き写したものです。 二部 風鈴はもうつるさない(仮題)の概略説明 作曲:稲谷カヘイ この曲の構成は、 プロローグ(帰郷)-出会い(風の音)-芽ばえ(偶然) -たかまり(ハーモニー)-別れ(かげり) -死(手帳)-エピローグ(風鈴) の七つから成っている。 (テーマの動機が4小節分書かれていたが、少し間違っていた!) 曲はまず、この全編のテーマが哀寂(哀愁)を帯びて奏せられ、 フルートの風鈴の音がオブリガード的に流れる。 この間に時代がさかのぼって行き、彼との思い出が語られていく。 軽やかな2拍子のメロディはさわやかな初夏の朝を思わせ、 彼との楽しい出会いを表す。 二人の間に何かが芽ばえたかまっていく。 ゆったりとした3拍子、そして美しい雄大なメロディは、 二人がどんどんたかまってい、そして共に過ごした山での 自然色の愛のハーモニーの頂点にまで持っていく。 しかし曲はディミニッシュコードを用いた 不安定な旋律が流れ出す。 二人を襲う、何か知らないかげり。 その不安は消えることなく、彼は彼女の元を去り、 決定的なメロディによって彼の死を聴衆に予期させる。 そして、これ以後、全編のクライマックスともいえる、 彼(主人公)の愛と死(愛と夢)の葛藤が 遺品の手帳によって語られる。 その行為はあくまで純粋であろうとし、 あくまで自己に忠実であろうとし、 また、真実の愛を獲得しようとした尊い行為であった。 (注)これは読み手の考え方によって異なる。 理解できない人もいるかもしれない。 説得力の不足する点はお詫びする。 曲は、彼が目指す山を目前にした時の 決意、独白を表す激しいメロディが流れる。 ついで、登山中の風景の美しさ、 そして生の躍動感を覚える生き生きとしたメロディ、 そんな充実感が聴衆をとらえる。 しかし、突然風が吹き、吹雪の混乱したメロディが襲う。 食料がなくなり、寒さがきつく、死を肌で感じていく。 そして、死の直前に襲う陶酔感、 そんな陶酔感が彼女を思い出させ、幻覚を引き起こし、 彼は彼女のウェディングドレスの姿を見る。 しかし、彼の瞳に映った彼女が遠く消えていった時、 曲はクライマックスに達し、彼の悲劇的な死を告げる。 再び最初のテーマが静かに流れ、 舞台は帰ったばかりのふるさとに戻る。 風鈴が鳴っている。 2年前、彼女が吊るした風鈴。 風の音をきくために吊るした風鈴。 「あなたが風でわたしが風鈴、 風が吹かなければもう鳴りません。」 と、彼女の最後の言葉で曲は終わりを告げる。 以上 曲はまだ完成していないので、 上記した曲想と少し異なるかもしれないが悪しからず。 なお、このシナリオ(トップにだけ配る予定)に関して 気づいた点があれば教えてください。 たとえばおかしな点、悪い点、ETC、、 文責 川西 |
日記からの抜粋です!
18年9月10日 うれしいメール
思いがけず大学同期の友人からメールが届いた。
先月和歌山で再会後、谷町で一杯飲んだ友人のひとりS賀君である。
今も仕事のかたわらマンドリン合奏団に所属して活躍している。
マンドリンよりひとまわり大きな中音楽器マンドラの名手と、
クラブ員すべてが認め、私も指揮者として頼りきっていた友である。
私よりもずっと真面目で口数も少ない彼からわざわざメールが届いたのだ。
久しぶりにホームページを覗いてくれて、
私が作曲した「風鈴はもうつるさない」を聴いてくれたのだ。
卒業後に後輩に頼まれて作曲したので、
同期の友人たちは多分何も知らない筈だからよけいうれしかった。
内容は「褒めすぎ」と一言で片付けるべきものだが、
無口でべんちゃらを言わない友人だけにうれしい。
実は私の編曲の恩師故中川先輩はその時の演奏会に来てくださった。
感想ははっきり言われなかった。渋い顔に見えた。
「メインテーマはよかったよ」と言われたことだけ覚えている。
前置きが長くなった。
先日は楽しかったです。
久しぶりに昔の仲間と合奏できたし後輩のOBとも親しくなり
有意義な1日でした。23日が楽しみです。
今日、久しぶりに貴君のホームページを拝見しました。
以前よりもいっそう内容が充実しているのに驚きました。
「風鈴はもうつるさない」を聴きました。
詩、曲ともによく出来ていて感激しました。
主題のメロディーが素晴らしいし、所々にアレンジされて
メインメロディーが流れているところも良く工夫されていると
感じました。
鈴木静一の「人魚」を思い出させる出来ばえであると思います。
今さらながら貴君の才能に敬服する次第です。
又、時々聴かせてもらおうと思っています。
簡単ですが感想をお伝えします。
私からの返信です。
褒めすぎメールありがとう!
それでもすごくうれしいです!
卒業後後輩に頼まれて実力も省みずに作った作品です。
私にとってもいろんな思いを込めて作ったので、
出来はともかくとして今もよく聴きます。
聴いてもらえただけで感激です。
中川調の和音、特にドラパートは力を入れて作りましたよ。
転化和音など和声楽でかじった知識も使ってみました。
今となればもう少し凝れたと思うのですが。
あれは昭和47年の6月から8月の暑くつらい時期に、
3ヶ月かけてギター1本で作ったんだなと今思い出しています。
素朴なメロディをひねり出すのに苦労しました。
特に私は演歌になりやすいので!
お詫び!
勝手にホームページに転載してしまいました。
S賀君としましたがご不満でしょうか?
18年9月15日 こんなメールももらいました。
前中略
”風鈴はもうつるさない”を、
ヘッドホンをつけて目をつぶりながら聴いていたら、
いつも自分で網戸を開けて餌をねだる、
なじみのアライグマ”リズちゃん”が来ていて、
私が気づかないので待ちかねたのか、
勝手に部屋に入ってきて、
食卓の上に置いてあったクッキーを持って部屋を出る所でした。
娘家族が日本に帰った後の寂しさを癒してくれるアライグマ達です。
(大家族で、みんな最初に来た”ママちゃん”からの子、孫達と思われます。
最近は11匹が入れ替わり立ち代わり来てくれますが、
毎晩きてくれるのはリズちゃんだけ)
最近はスカンク、オポッサムも加わって毎晩にぎやかなことです。
”風鈴はもうつるさない”は 何度聴いてもいいですね。
もっと公になんかできないかな?と思ったりしてますが、、、
なんとかスコアも見つかるといいのにね。
いいものが残っていいですね。
後略
さっそく返信!
昔我家にネコがやってきたことがあるけど、
カリフォルニアのサンタバーバラともなると出てくるものが違いますね!
何度も聴いてくれてありがたいことです!
いつもありがとう!
中略
アライグマのお話はサンタバーバラの生活が垣間見られるようでいいね。
インターネットで検索したらなかなか景色のいいところだね。
勝手に転載したよ。褒めてくれてるし、、、
昔我家には屋根からネコが数匹来てくれたのを思い出したよ。
僕以外で”風鈴はもうつるさない”を何度か聴いてくれる人は
あまりいないと思ってたよ。ありがとう。
この曲が定期演奏会のレコードに収録してもらえた時は
本当にうれしかったけれど、ともに分かち合う人がいなかったよ。
ホームページを通じて何人かに聴いてもらえるなんて不思議だね。
以上、まずは御礼まで!!!
21年09月29日 善旦会のT先輩からのメールです。
「天才」カヘイ様
ひょんな事からこれを聞く羽目に陥りました。
「人魚(姫)」は1-2度聞いたようにも思いますが、はっきりとは知らないゆえ比較は
難しいですが、この曲は間違いなくマンドリンオーケストラの名曲の一つかも。
これがあの”小憎らしい男”の若き日の作品とは!
人には何か一つ長所が有るものですね。
作詞・演奏・ナレーションが一体となって名品が出来たという感じがします。
毎年1万曲程も新しい曲・歌が出来るとの事ですが、琴線に響き多くの人々に
愛され続ける作品は本当に少ない。 これからも良い曲・作品を愛し、楽しんで
行きたいですね。
「お追従」が生きがいの 某氏より
返信です
お追従さんへ
聴いていただけただけで大変ありがたいことだと思っています。
当時私は27歳だったか、失恋の痛手を癒しつつあった時期でした。
たまたま4期後輩の指揮者君に頼まれて、6月から8月暑い時期に
約3ヶ月集中して作りました。
ある意味で怨念の作品です!
自慢できるほどのものではもちろんありませんし、
演奏後の中川さんの批評も芳しくありませんでした。
テーマのメロディだけいいと褒めてくれました。
何年か後、23期のY君が枚方マンドリンクラブの定期演奏会で採り上げてくれました。
その日私は作曲者として招待され作詞者と共に花束をもらいました。
最初で最後の華やかな思い出です。
お追従さんのお褒めはお追従と受け留めていますのでご心配なく。
誰に何と言われようと私にとっては生涯の記念です。
ましてレコードにしてくれたのですからありがたい限りです。
当時も今も大して変わらぬ私の音楽知識ですがすべてつぎ込みましたよ。
あの”小憎らしい男”はT先輩やW先輩の前では、
ただのひよっことしか映ってないだろうと、
ことさらハイテンションになっているのだと思いますよ。
特にW先輩が4年生の時のギターパート1年生だから、
どうしても背伸びしたくなるのでしょうね。
これからも”小憎らしい男”でありたいのですが、、、
世間での私は何故か全く小憎らしい男ではなく誠実だけがとりえの男です。
それにしても「人魚姫」はいいですね。
定演で人魚を採り上げた当時の1年生か2年生だったK西君が、
同じようなステージを持ちたいと自作の詩を持って我が家に依頼に来てくれたわけです。
中川さんがあきれるほどの無謀だったと思いますが、
こんな形で残せたことをうれしく思っています。
私は人魚も風鈴も何度も聴いています。
たまたま人魚の頃から録音もよくなったようですよ。
もう一度聴きたくなっていただけることを祈ります!
「天才」カヘイより