風鈴はもうつるさない 創作シナリオ朗読劇
和歌山大学マンドリンクラブ第16回定期演奏会 1972年12月
シナリオ:川西英夫 作編曲:稲谷嘉平
2006.4.10 アップ 約23分の曲です。
音が出ない場合はこちら→ここ
(BGM型では再生できない場合の方法です)
エピソードなどはシナリオの後ろに移動しました。2022.5.31
「風鈴はもうつるさない」
演奏日:1972年12
レコードからの録音で、少しノイズがあります
シナリオ 和歌山大学マンドリンクラブ 21期 川西英夫
作 曲 和歌山大学マンドリンクラブ 17期 稲谷嘉平
(作曲日:1972年10月10日)
0‘00 短い序奏 イ短調 4/4 Adagio
0‘22 第1曲 メインテーマ イ短調 6/8 Lento
0‘42 今 ふるさとの
小さな織物の町に
帰ってきました
町の真ん中を走る河原では
子供たちが遊んでいる
日が赤く沈むころ
泥んこになったその手を
母親にゆだねて
散らばってゆく
道行く人々は
汗を拭きながら
家族の待つやすらぎへと
帰っていく
お寺の鐘が
真っ赤な夕焼けに響いた
1‘20
1‘39 この町を旅立った時と
同じ光景に
私は「ふるさと」
という言葉を
実感せずには
いられません
家々の軒下の風鈴が
人々に風を運んでいます
私の部屋の窓辺にも
煤で汚れた風鈴が
鳴っています
2‘02
2‘15 2年前
風の音を聞くために
私が吊るした風鈴
2‘21
2‘34 じっと目を閉じると
あなたとの思い出が
ゆっくりと目の前を
通り過ぎていきます
2‘42
3‘00 第1曲 終了
3‘01 第2曲 ニ長調 2/4 Allegretto
3‘09 カーテンの隙間から見える
初夏の日差しの中で
私は目覚めました
ベッドから飛び降りると
窓を開け 思い切り
陽ざしを浴びました
見ると鉢植えの朝顔が
三つも咲いています
私は洗面器の水を
片手ですくい
そっとかけてやりました
3‘29
3‘32 リーン リーン
風鈴が軽やかに
鳴っています
さわやかな朝の
真っ青な空と白い雲
いつのまにか私は
うっとりと白い雲に
見とれていました
3‘46
3‘48 「冷たい!」
そんな声に
我に帰りました
見ると
私の持っていた
洗面器の水が
ほとんどなくなって
いるのです
「かかったのですか?」
思わず声を出すと
「見りゃわかるだろう!」
大きな声が
下から返ってきました
夢中で
「すみません
今すぐ降りていきます」
すると彼は
真黒い顔に白い歯を見せ
「気にしない気にしない
ピースピース!」
と笑いかけました
そして「いい風の音だね」
と言うと 振り返りもせず
立ち去って行きました
4‘27
4‘33 私は 彼の後姿が
見えなくなってからも
しばらく
風鈴の鳴るのを聞きながら
「いい風の音だね」と
そう言った
彼の言葉を
無意識のうちに
繰り返しているのでした
4‘48
4‘54 第2曲 終了
4‘56 第3曲 つなぎ ホ短調 3/4 Andante
5‘10 2度目の偶然が
私に勇気を与えました
ふるさとを離れての
一人住まいが
ようやく慣れてきた頃
ふと あの人と
街角ですれ違ったような
そんな気がした時
気がつくと私の方から
話しかけていました
5‘32
5‘44 第3曲 つなぎのメロディ 終了
5‘45 喫茶店での他愛ないお喋り!
5‘48 第4曲 ホ短調 3/4 Allegro
一瞬2拍子を思わせ 後半は無茶な転調で最後はト長調
5‘52 「そのパンダかわいいね」
「ええ、かわいいでしょう
今日買ってきたばかりなの」
彼は 私の膝にある
パンダのぬいぐるみに
手をやって
まるで
生き物に接するように
話しかけたり
つっついたり
していました
6‘07
6‘12 そのパンダ
本当にかわいいね
でも君の方が可愛いよ
一瞬目が合いました
私ははっとして
下を向いてしまいました
そして 心の奥で
何かときめくものを
抑えつけられませんでした
6‘30
6‘48 こうして
何度か逢っているうちに
あなたのことを
いろいろ
知るようになりました
山がとっても好きで
写真を見せながら
うれしそうに
話したものでした
そして
いつか一緒に登ろう
と言ってくれました
7‘08
7‘45 第4曲 終了
7‘46 おい もうあと一息だ
頑張れよ
あなたの声に 励まされ
私は やっとの思いで
頂上にたどり着きました
7‘57 第5曲 ニ短調 4/4 Moderato
8‘01 なんという雄大な
眺めだったでしょう
幾重にも山が重なり
夕日が谷間に
その影を落とす
沈む陽に
こたえるかのように
金星が
向かいの山に現れると
風は冷たく肌を刺す
でも
あなたの手は
私の手に
あたたかかく重なった
8‘32
8‘36 山々の緑が
赤く染まりながら
奏でる愛のハーモニーは
いやがうえにも
私たちをその中に
引き込んでいきました
あなたの瞳は
私を喜びで満たし
私はその中に
強い心の何かを
見たのです
満天の星の降る山小屋で
私はあなたのぬくもりの中に
小さくうずくまりながら
ずっと風の音を
聴いていました
9‘11
9‘15 第5曲 終了
9‘16 第6曲 つなぎのメロディ
イ短調 6/8 Adagio
9‘19 こうして楽しい月日が
夢のように流れるのです
9‘23
9‘32 春になれば
つくしが芽を出すように
あるいはまた
山奥の雪解け水が
小さなせせらぎとなって
山村の小川へ流れ
小さな魚を身ごもりながら
やがて海へ流れ込むように
私たちの心は
何さえぎることなく
どんどん大きく
膨らんでいきました
9‘57
10‘07 第6曲 終わり
10‘08 第7曲 序奏とつなぎ
イ短調 Adagio
10‘10 ところが
いつの頃からか
あなたのあの明るい笑顔に
時々小さな陰りがよぎるのを
感じるようになったのです
10‘31 第8曲 テーマ ホ短調 6/8 Lento
10‘33 私の気のせいなんだわ
あなたはこんなにもやさしい
愛がなければ
きっと不安なんか
ありっこない
時を待とう
時を待てばきっと きっと
でも どうしても心の底から
不安を追い出すことは
できませんでした
10‘57
11‘06 やがて 私の不安が
現実となったのです
いつものように
二人で帰ったあの坂道
いつものように
目を閉じて待っていた私
でも 私の唇には
冷たい冬の風が
通り過ぎていくだけ
11‘31
11‘42 私をみつめて
あなたは 「きっと帰る」
それだけを残して
走って行ったのです
初めて見る
あなたの後姿を
私はただ
見送るばかりでした
「きっと帰る」
その言葉の意味が
よくわかりませんでした
でも なぜか悲しいものが
こみ上げてくるのを
覚えずには
いられませんでした
そして
ただ待てばいいんだわ
ただ待てばいいんだわ
と心に言い聞かせていました
12‘26
13‘01 第8曲 終了
13‘02 第9曲 つなぎ ホ短調 4/4 Allegro
ディミニッシュコードの連続
13‘10 それは
約1カ月たった3月20日
鉛色の空が低く垂れさがり
生暖かい風が
吹き抜けていました
今にも嵐が来そうな
そんな不気味な昼下がり
きっと帰る と そう言って
去って行ったあなたなのに
それなのに
私の元に帰ってきたのは
手垢で汚れた1冊の手帳
13‘41
13‘42 つなぎ 後半
13’48 第10曲 イ短調 3/4 Allegro
13‘59 2月13日 晴れ
眼前に広がる壮大なる連山
その中で
ひときわ光を放ち
俺たちを見下ろしているあいつ
それが俺たちが目指す奴だ
美麗さと神秘さが同居し
その雄大な懐の中で
どんなけがれたものも
浄化してしまうあいつ
14‘20
14‘32 俺たち人間を
やさしく包み
人間らしさを教え
はてしない憧れを
抱かせる
でも ひとたび怒れば
そんな憧れなど 一息に
飲みこんでしまう厳しさを
持つあいつ
あの山こそ
おれの青春の夢
あの山を征服すること
それによって俺は
自己の存在を
確認することができる
そうしてこそ 初めて
真の青春が得られるんだ
夢を捨てること
それは俺そのものを
否定することになる
俺の青春は
真の青春ではなくなる
ただ抜け殻と化した
一人の男が残るにすぎない
夢を捨てた男に
どうして愛など語れようか
彼女を愛すれば愛するほど
俺の心は重くなっていった
この両腕で
彼女の愛に応えるためにも
俺は今 自分自身を
見つめなければならない
あの山で
どれほど多くの命が
失われたことだろう
もう会えないかもしれない
だが 死を恐れて
青春を捨てることは
もっと悲しいことだ
俺は今
まさに彼女と
二人だけの青春への
第一歩を
踏み出そうとしている
15‘57
16‘08 第10曲 終了
16‘09 第11曲 イ長調 4/4 Allegro
16‘15 2月20日快晴
山の朝の
なんとも言えない清々しさ
あたり一面の雲海
その雲海を少し突き抜けて
向かいの山がコニーデ型の
美しい姿を覗かせている
そのはるか東方から
真紅の太陽が昇り始め
雲海の上に鮮やかな
デルタ型の光を照らす
日が昇るにつれ
雲は散ってゆき
その隙間から
はるか下方に
山小屋を望む
ハーケンの音は
快く谷間にこだまし
ザイルを握りしめた手に
生の躍動が伝わる
俺たちは 今 着実に
頂上に向かっている
17‘06
17‘19 第11曲 終了
17‘23 第12曲 つなぎ
2月24日
頂上は目前に立った
予定より一日遅れたが
大事をとって
明日の登頂に備える
いよいよ明日は
俺の青春が開花する
アッコ もう少しだ
もう少しで君の元に帰る
17‘45 第13曲 イ短調 4/4 Allegro
18‘12 2月25日
天候崩れ
少し吹雪いているが
登頂を決行
11時
吹雪激しくなり視界ゼロ
午後4時
吹雪晴れそうになく
止む無くビバーク
全員異常なし
明日は晴れてくれ
18‘32
18:36 26日
依然吹雪晴れず
身動きとれず
ビバーク続く
ヤッケに水が沁みて寒い
仲間の一人が弱っている
ビスケット二つ
18‘50
19‘09 27日
依然吹雪やまず視界ゼロ
仲間の一人が倒れる
みんな眠らないよう
励まし合う
19‘16
19‘32 28日
乾パン1枚かじる
目を開けているのがつらい
ほかのみんなは
大丈夫だろうか
誰も口を利かない
寒い 手が震えて
思うように書けない
19‘48 第14曲 イ短調 Adagio
20‘02 目を閉じると
いつも二人で歩いた
あの坂道が見えてくる
あっ、アッコがいる
なつかしいあの笑顔が
走ってくる
俺の腕に飛び込んでくる
ダメよ 目を閉じちゃ
何を心配しているんだ
眠っちゃいないよ
もう一度笑っておくれ
どうしてそんな
悲しそうな顔で
見つめるんだ
さあ、アッコ
これを着てごらん
そんなに涙を出しちゃ
ウェディングドレスが
濡れるじゃないか
さあ、教会へ行こう
どうして逃げるんだ
あっ待つんだ アッコ
どうしてそんな
暗い所へ行くんだ
笑っておくれよ アッコ
さあ 戻っておいでよ
アッコ アッコ アッコ!
20‘58
21‘21 第14曲 終了
21‘23 第15曲 テーマ イ短調 6/8 Lento
22‘02 私は今 ふるさとの町にいます
風鈴が 人々に
風を 運んでいます
初夏の風を聞くと
涙がこみ上げてくるのです
あなたが風で 私が風鈴
風が吹かなければ
もう鳴りません
だからもう
風鈴を吊るすことは
ありません
22‘35
23‘06 第15曲 終了
どこかで再演されることを期待して
ユーチューブ化することとしました。
スコア、パート譜、
フィナーレファイル、midi音源あり
お問い合せは
k-inatani@kfa.biglobe.ne.jp
2020.6.9 シナリオ作者の手を借りて
シナリオが復活できました。
このページの最初に、時間メモリを入れて転記しました。
目で追いながら聴いてみてください。
既にPDF化した楽譜もあります。
どこかでまた演奏されることを期待しています。
実費程度で楽譜提供をいたします。
2017.12
原譜スコアが当時の指揮者宅で見つかりました。
さっそく郵送してくれました。
作曲時を振り返りたくmidi化してみました。
ナレーションなしですが、、、2017.12.23→ここ
2022/5/20
マンドリンクラブ同期の友人S氏から突然メールが届きました。
こんばんは
随分ご無沙汰していますがお元気でお過ごしでしょうか?
10月10日(月・祝日)にXXXXの定期演奏会の開催を予定していて
これから選曲作業に入って行く段階です。
H.K氏(一番若い指揮者兼チェロ奏者兼作曲者)が
自身が担当するステージで演奏する曲については
「今回は団員からのリクエストによって選曲したい」
との意向を示しました。
またとない機会ですので、
私は貴君作曲の「風鈴はもうつるさない」をリクエストし、
貴君のHPを紹介して
演奏を聴いて判断してくれるよう依頼したところ
Sさん、リクエストありがとうございます。
曲を聴いて判断をとのことですが、
ボクは新曲(もしくはほとんど世に出回ってない曲)
については
音源より楽譜を読ませて頂いて
プログラムにあげるかどうか判断しています。
ということで、楽譜を拝見できれば幸いです。
スコアの返却が必要なら丁重に扱います。
よろしくお願いします。
<(_ _)>
との返信がありました。
私はこの曲が好きで、以前から機会があれば
XXXXで演奏してたくさんの人に聴いてもらえれば良いな・・・
と思っていましたのでこの機会にリクエストした次第です。
もし差し支えなければ
スコアを送って下さるようお願いいたします。
必ず選曲してもらえるという保証はありませんが
この曲を多くの人々に知ってもらえる絶好の機会ですので
ご協力どうかよろしくお願いいたします。
2022/5/30(月)
29日(日)に練習日に弾いていただけたようです。
結果は不採用ですが、当然のことと気にしていず、
練習してもらっただけで満足というのが正直な気持ちです。
こんにちは。
昨日K氏から「風鈴はもうつるさない」は
選曲しない旨の連絡がありました。
理由は、「管楽器が入っているから」との事です。
※彼は管楽器が入っている曲は選曲しない方針との事。
しかし、練習曲として
「風鈴はもうつるさない」を取り上げてくれました。
まず、曲を区切りごとに刻んで確認しながら
最後まで一通り演奏して後、通して演奏しました。
初見にもかかわらず、和大の演奏と
ほぼ同じような感じの演奏になっていたので、
彼の指揮者としてのセンス及び
XXXXの演奏レベルの高さに改めて感服した次第です。
この曲の印象を彼に聞いてみたところ
・昭和を満喫させられる曲
・演歌とフォークが融合している曲
・ギター伴奏のベース音に根音を使用している
・作曲者はギターが達者な人物という印象
・・・との事でした。
彼は51歳なので、50年前に作られた曲を
「レトロ」と感じたのかもしれません。
ナレーションが入れば感じも変わったと思いますが・・・
曲だけでの印象ですので
止むを得ない面もあったかと思われます。
今回選曲されませんでしたが、
練習で取り上げてもらえた事で
私自身は満足しています。
XXXXでこの曲を演奏する事を夢見ていましたが、
練習とはいえ実現したので・・・
今回貴君にご面倒をおかけして申し訳ありませんでした。
又、ご協力いただきありがとうございました。
私はこの曲が好きですし、
これからも時々聴かせてもらいたいと思っています。
2022/5/30(月)の第2メールです。
当合奏団の記録係が昨日の練習記録を
HPに掲載しています。
参考に「風鈴はもうつるさない」の部分を
抽出してお知らせします。
練習日の5月29日(日)は、
全国あちこちで真夏日情報が飛び交っていましたが、
ホームグランドの練習室内は、ビルの6階で、
窓を開けてはいるものの、それほど暑くはなく、
弾くことに集中できるレベルでしたね。
真夏でもこのレベルにとどまって欲しいものです。
今回の練習はZZZZさんお休みで、指揮者は二人。
K様は、団員提案曲を一曲ご準備。
初めて聞く曲名、IIII作曲「風鈴はもうつるさない」
提案者S氏に
この曲の情報が公開されているサイトをご紹介いただき、
帰宅後、早速覗いてみました。
この作品は、一言でいえば、
青春時代の葛藤と悲しい恋の物語。
ナレーションの入る作品で、曲の構成は、
プロローグ(帰郷)-出会い(風の音)-芽ばえ(偶然)
-たかまり(ハーモニー)-別れ(かげり)
-死(手帳)-エピローグ(風鈴)
演奏音源を聴くと、ナレーションというよりも、
朗読劇に音楽が付随している、そんな感じですね。
作曲日は1972年10月10日、作曲者は、
当時、和歌山大学マンドリンクラブOBのI氏、
シナリオは当時の指揮者のK氏が作成されたもので、
4つ上の先輩I氏に曲をつけてもらったようで、
初演は同大学1972年秋の第16回定期演奏会。
(画面が展開したら、下へ、ずーっとスクロールし、
No.82「風鈴はもうつるさない」の左に書いてあるMP3を押すと、
自動で音源が再生されます。
画面には、解説やナレーション原稿などが紹介されていますので、
ナレーション原稿を見ながら音源を聴かれるとよいと思います。
音だけでは、ナレーション内容が聞き取りにくいです)
23分のドラマに、つい聴き入ってしまいました。
感情移入して、胸がキュンとしたり、ルンルンしたり、
締め付けられたり、心が疲れちゃいましたね(笑)。
興味ある方はどうぞ。
次回は、ぜひ、ナレーション入りで練習したいものですが、ムリかな?
※記録係は72歳の男性です。
我々と同年代のせいか
「昭和」や「レトロ」といった言葉は見当たりません。
HPを開いてくれて、我々と同じような感動を感じてくれたようで
うれしく思いました。
2022/5/31(火) S氏からの第3弾メールです。
記録係のN氏が
「風鈴はもうつるさない」は良い作品なので
「積極的に外部にPRした方が良い」
とアドバイスしてくれています。
参考に私が彼宛に送った、
スタッフブログに記載してくれた御礼メールと
彼からの返信メールを下記に添付します。
S氏から記録係さんへのお礼メールです。
N様(どうやらその道のプロのようです)
スタッフブログで
「風鈴はもうつるさない」を詳しく紹介していただき
ありがとうございました。
作品の作成経緯、概要の説明、感想・・・等、
的確に説明されていて
更にURLの紹介までしていただき、感謝します。
どうもありがとうございました。
N様からの返信です。
こんばんは
こちらこそ、ありがとうございました。
初演時の反響はどうだったんでしょうね。気になりますね。
学生がシナリオを描いて、少し上の先輩が作曲するなんて、
いずれも素人さんでしょうし、
前代未聞の良く出来た作品ですね。
初めて知りました。服部正も負けそうですね。
女子受けしそうな印象ですね。
こういう曲の存在を知ったら、
女子大学や短大のマンドリンクラブなら、
どんどん扱ってもらえそう。
もっとPRするといいですね。
特別PRサイトの制作と、Youtubeでの音源公開、
販売用楽譜の準備、連盟会報や、
奏でる!マンドリンへの寄稿等々、
このあたりはすぐできそうですよね。
和歌山大学の後輩たちに、ぜひ発破をかけて下さい。
斯界での反響が楽しみです。
<補足説明>
N氏は演奏面だけではなく
マンドリン音楽に対する研究家でもあり
造詣が深くて本も出版しています。
下記URLを開けば本の内容とN氏の略歴も記載されていますので
良かったら参考にして下さい。
<https://www.ne.jp/asahi/mandolin/falbo/PDFC.pdf>
2022/5/30 シナリオ作者にも経緯を伝えておきました。
感想と近況のメールです。
わざわざのご連絡ありがとうございます。
このように、どなたかがご興味を持っていただけること嬉しく存じます。
Sさんは私の現役時代に、合宿のときだと思いますが
一度お見えになられたと記憶しております。
(お顔は覚えておりませんが)
その時にドラの独奏曲(確か舟唄とかいう題?)
を披露して頂いたように記憶してます。
重音で弾かれてすごいなぁーと思いました。
小生の近況は時間の余裕が出来たので
3年前ぐらいから二胡の練習を始めました。
毎日2時間くらいは弾いてます。
なかなか上達はしませんが。
風鈴のシナリオは今聴くと稚拙な部分、
くどい部分とかがあり恥ずかしいです。
もっとコンパクトにして
曲をもっと聴かせるような構成にすれば
もっと良い作品になったかなと思ってます。
いずれにせよ青春時代の形が残った良い思い出です。
ありがとうございました。
21年09月29日 善旦会のT先輩からのメールです。
「天才」カヘイ様
ひょんな事からこれを聞く羽目に陥りました。
「人魚(姫)」は1-2度聞いたようにも思いますが、
はっきりとは知らないゆえ比較は難しいですが、
この曲は間違いなくマンドリンオーケストラの名曲の一つかも。
これがあの”小憎らしい男”の若き日の作品とは!
人には何か一つ長所が有るものですね。
作詞・演奏・ナレーションが一体となって
名品が出来たという感じがします。
毎年1万曲程も新しい曲・歌が出来るとの事ですが、
琴線に響き多くの人々に
愛され続ける作品は本当に少ない。
これからも良い曲・作品を愛し、楽しんで行きたいですね。
「お追従」が生きがいの 某氏より
返信です
お追従さんへ
聴いていただけただけで
大変ありがたいことだと思っています。
当時私は27歳だったか、
失恋の痛手を癒しつつあった時期でした。
たまたま4期後輩の指揮者君に頼まれて、
6月から8月の暑い時期に
約3ヶ月集中して作りました。
自慢できるほどのものではもちろんありませんし、
演奏後の中川さんの批評も芳しくありませんでした。
テーマのメロディだけいいと褒めてくれました。
何年か後、23期のY君が
枚方マンドリンクラブの定期演奏会で採り上げてくれました。
その日私は作曲者として招待され
作詞者と共に花束をもらいました。
最初で最後の華やかな思い出です。
お追従さんのお褒めは
お追従と受け留めていますのでご心配なく。
誰に何と言われようと私にとっては生涯の記念です。
ましてレコードにしてくれたのですからありがたい限りです。
当時も今も大して変わらぬ私の音楽知識ですが
すべてつぎ込みましたよ。
あの”小憎らしい男”はT先輩やW先輩の前では、
ただのひよっことしか映ってないだろうと、
ことさらハイテンションになっているのだと思いますよ。
特にW先輩が4年生の時のギターパート1年生だから、
どうしても背伸びしたくなるのでしょうね。
これからも”小憎らしい男”でありたいのですが、、、
世間での私は何故か全く小憎らしい男ではなく
誠実だけがとりえの男です。
それにしても「人魚姫」はいいですね。
定演で人魚を採り上げた当時の
1年生か2年生だったK西君が、
同じようなステージを持ちたいと自作の詩を持って
我が家に依頼に来てくれたわけです。
中川さんがあきれるほどの無謀だったと思いますが、
こんな形で残せたことをうれしく思っています。
私は人魚も風鈴も何度も聴いています。
たまたま人魚の頃から録音もよくなったようですよ。
もう一度聴きたくなっていただけることを祈ります!
「天才」カヘイより
2017年12月2日
第61回定期演奏会OBルームで、
シナリオの作者であり、指揮をしてくれたK君と遭った。
スコアが出てきましたとのこと!
今日送りましたとのメールがありました。
先日は久しぶりにお会いできて懐かしかったです。
スコアですが一年程前整理中に出てきました。
もっと早くお送りすれば良かったのですが
遅くなり申し訳ありません。
本日送らせていただきました。
「風鈴」は小生にとっても大切な思い出です。
良い曲を有難うございました。
川西H夫
12月4日、郵送されてきた、
几帳面に書かれたスコアを手にしました。
我ながらその細かさに驚きました。
現在フィナーレに入力しながら、
当時の曲に対する考え方などを探っています。
作詞及び指揮:4年後輩の川西君 作曲:私 |
和歌山大学マンドリンクラブ第16回定期演奏会(昭和47年秋) 指揮者だった川西君に依頼され私が作曲しました。 後輩たちの演奏です。 以下は「ひとりごと」からの抜粋です。 20代に定期演奏会用の約20分のマンドリン合奏曲を作った。 シナリオに合わせた小曲の寄せ集めだったけれど、 今も好きでたまに聴きます。 いろんな想い出が詰まっています。 後輩の指揮者君の作ったシナリオに曲をつけました。 「風鈴はもうつるさない」というタイトルで、 冬山で遭難した彼を風にたとえ、 「風が吹かなければもう風鈴は鳴りません」という 彼女の言葉で終わる物語です。 残念ながら、苦労して作ったスコア(総譜)は行方不明となっています。 いつかテーマだけでもギター曲で再現したいと思っています。 (2006.4.10 マンドリン演奏そのものをアップしました。) 当時の曲目解説のコピーが手に入りました。 彼女がふるさとに戻ってくるところから物語りは始まります。 素朴なメロディーのテーマが流れ、 時折風を運ぶ風鈴の音がひびき、 その音が彼との想い出を回想させていきます。 軽やかな2拍子のメロディーは、さわやかな初夏の朝を思わせ、 彼との出会いが語られます。 二人の間に恋が芽生え、高まってゆく。 ゆったりとした3拍子、そして美しいメロディは 二人の高まってゆく過程を表わし、 共に過ごした高原での自然色の愛のハーモニーの頂点にまでもってゆきます。 しかし次第に不安定な旋律が流れ、 小さな陰りが二人を襲います。 彼女はそんな陰りを 「気のせいなんだ」と否定しようとしますが、 不安はだんだん大きくなり、 遂に彼は去ってしまうのです。 「きっと帰る」と信じた彼女のもとに帰ってきたのものは、 手垢で汚れた1冊の手帳でした。 以後手帳によって彼の葛藤が語られる。 夢を遂げること、それによって彼は自分の存在を確認でき、 青春を実感しえたのです。 自己を曖昧にして愛を語ることは、彼にとって耐えられなかったのです。 真実の愛を育て上げるためにも、 また、確信に満ちた両腕で彼女の愛に応えるためにも、 それは果たさねばならないことだったのです。 死の危険が同居していても、 死を恐れて青春を捨てることはもっと悲しいことでした。 曲は目ざす山を目前にした時の緊張感、 登り始めてからの風景など登山中の情景を追っていく。 そして吹雪。 寒さがきつく、死が膚を覆いはじめる。 死の直前に襲う陶酔感、 そんな気持ちが彼女を思い出させ、幻覚を引き起こす。 彼女がウェディングドレスを着た姿を見る。 しかし瞳に映った彼女が遠く消えていった時、 曲は彼の死を告げた。 再び最初のテーマが流れ、舞台は帰ったばかりのふるさとに戻る。 風鈴が鳴っている。 2年前、彼女が風の音を聞くためにつるした風鈴。 ”あなたが風で私は風鈴” ”風が吹かなければもう鳴りません” 彼女の最後の言葉で曲は終わりを告げます。 2013年7月19日 シナリオの作者でもある当時の指揮者川西くんが、 幹部役員に宛てたメモが見つかりました。 東京のG君がわざわざ送ってくれました。 川西くんにとっては自作のシナリオへの曲付けを、 私のような未熟な先輩に託したのですから、 幹部役員を説得必要があったのでしょうね。 以下は川西君へは事後報告するつもりで、 このメモを書き写したものです。 二部 風鈴はもうつるさない(仮題)の概略説明 作曲:稲谷カヘイ この曲の構成は、 プロローグ(帰郷)-出会い(風の音)-芽ばえ(偶然) -たかまり(ハーモニー)-別れ(かげり) -死(手帳)-エピローグ(風鈴) の七つから成っている。 (テーマの動機が4小節分書かれていたが、少し間違っていた!) 曲はまず、この全編のテーマが哀寂(哀愁)を帯びて奏せられ、 フルートの風鈴の音がオブリガード的に流れる。 この間に時代がさかのぼって行き、彼との思い出が語られていく。 軽やかな2拍子のメロディはさわやかな初夏の朝を思わせ、 彼との楽しい出会いを表す。 二人の間に何かが芽ばえたかまっていく。 ゆったりとした3拍子、そして美しい雄大なメロディは、 二人がどんどんたかまってい、そして共に過ごした山での 自然色の愛のハーモニーの頂点にまで持っていく。 しかし曲はディミニッシュコードを用いた 不安定な旋律が流れ出す。 二人を襲う、何か知らないかげり。 その不安は消えることなく、彼は彼女の元を去り、 決定的なメロディによって彼の死を聴衆に予期させる。 そして、これ以後、全編のクライマックスともいえる、 彼(主人公)の愛と死(愛と夢)の葛藤が 遺品の手帳によって語られる。 その行為はあくまで純粋であろうとし、 あくまで自己に忠実であろうとし、 また、真実の愛を獲得しようとした尊い行為であった。 (注)これは読み手の考え方によって異なる。 理解できない人もいるかもしれない。 説得力の不足する点はお詫びする。 曲は、彼が目指す山を目前にした時の 決意、独白を表す激しいメロディが流れる。 ついで、登山中の風景の美しさ、 そして生の躍動感を覚える生き生きとしたメロディ、 そんな充実感が聴衆をとらえる。 しかし、突然風が吹き、吹雪の混乱したメロディが襲う。 食料がなくなり、寒さがきつく、死を肌で感じていく。 そして、死の直前に襲う陶酔感、 そんな陶酔感が彼女を思い出させ、幻覚を引き起こし、 彼は彼女のウェディングドレスの姿を見る。 しかし、彼の瞳に映った彼女が遠く消えていった時、 曲はクライマックスに達し、彼の悲劇的な死を告げる。 再び最初のテーマが静かに流れ、 舞台は帰ったばかりのふるさとに戻る。 風鈴が鳴っている。 2年前、彼女が吊るした風鈴。 風の音をきくために吊るした風鈴。 「あなたが風でわたしが風鈴、 風が吹かなければもう鳴りません。」 と、彼女の最後の言葉で曲は終わりを告げる。 以上 曲はまだ完成していないので、 上記した曲想と少し異なるかもしれないが悪しからず。 なお、このシナリオ(トップにだけ配る予定)に関して 気づいた点があれば教えてください。 たとえばおかしな点、悪い点、ETC、、 文責 川西 |
日記からの抜粋です!
18年9月10日 うれしいメール
思いがけず大学同期の友人からメールが届いた。
先月和歌山で再会後、
谷町で一杯飲んだ友人のひとりS賀君である。
今も仕事のかたわら
マンドリン合奏団に所属して活躍している。
マンドリンよりひとまわり大きな中音楽器マンドラ
の名手とクラブ員すべてが認め、
私も指揮者として頼りきっていた友である。
私よりもずっと真面目で口数も少ない彼から
わざわざメールが届いたのだ。
久しぶりにホームページを覗いてくれて、
私が作曲した「風鈴はもうつるさない」を聴いてくれたのだ。
卒業後に後輩に頼まれて作曲したので、
同期の友人たちは多分何も知らない筈だから
よけいうれしかった。
内容は「褒めすぎ」と一言で片付けるべきものだが、
無口でべんちゃらを言わない友人だけにうれしい。
実は私の編曲の恩師故中川先輩は
その時の演奏会に来てくださった。
感想ははっきり言われなかった。渋い顔に見えた。
「メインテーマはよかったよ」
と言われたことだけ覚えている。
前置きが長くなった。
先日は楽しかったです。
久しぶりに昔の仲間と合奏できたし後輩のOBとも親しくなり
有意義な1日でした。23日が楽しみです。
今日、久しぶりに貴君のホームページを拝見しました。
以前よりもいっそう内容が充実しているのに驚きました。
「風鈴はもうつるさない」を聴きました。
詩、曲ともによく出来ていて感激しました。
主題のメロディーが素晴らしいし、所々にアレンジされて
メインメロディーが流れているところも良く工夫されていると
感じました。
鈴木静一の「人魚」を思い出させる出来ばえである
と思います。
今さらながら貴君の才能に敬服する次第です。
又、時々聴かせてもらおうと思っています。
簡単ですが感想をお伝えします。
私からの返信です。
褒めすぎメールありがとう!
それでもすごくうれしいです!
卒業後後輩に頼まれて実力も省みずに作った作品です。
私にとってもいろんな思いを込めて作ったので、
出来はともかくとして今もよく聴きます。
聴いてもらえただけで感激です。
中川調の和音、特にドラパートは力を入れて作りましたよ。
転化和音など和声楽でかじった知識も使ってみました。
今となればもう少し凝れたと思うのですが。
あれは昭和47年の6月から8月の暑くつらい時期に、
3ヶ月かけてギター1本で作ったんだなと今思い出しています。
素朴なメロディをひねり出すのに苦労しました。
特に私は演歌になりやすいので!
お詫び!
勝手にホームページに転載してしまいました。
S賀君としましたがご不満でしょうか?
18年9月15日 こんなメールももらいました。
前中略
”風鈴はもうつるさない”を、
ヘッドホンをつけて目をつぶりながら聴いていたら、
いつも自分で網戸を開けて餌をねだる、
なじみのアライグマ”リズちゃん”が来ていて、
私が気づかないので待ちかねたのか、
勝手に部屋に入ってきて、
食卓の上に置いてあったクッキーを持って
部屋を出る所でした。
娘家族が日本に帰った後の寂しさを
癒してくれるアライグマ達です。
(大家族で、みんな最初に来た”ママちゃん”からの
子、孫達と思われます。
最近は11匹が入れ替わり立ち代わり来てくれますが、
毎晩きてくれるのはリズちゃんだけ)
最近はスカンク、オポッサムも加わって
毎晩にぎやかなことです。
”風鈴はもうつるさない”は 何度聴いてもいいですね。
もっと公になんかできないかな?と思ったりしてますが、、、
なんとかスコアも見つかるといいのにね。
いいものが残っていいですね。
後略
さっそく返信!
昔我家にネコがやってきたことがあるけど、
カリフォルニアのサンタバーバラともなると
出てくるものが違いますね!
何度も聴いてくれてありがたいことです!
いつもありがとう!
中略
アライグマのお話はサンタバーバラの生活が
垣間見られるようでいいね。
インターネットで検索したらなかなか景色のいいところだね。
勝手に転載したよ。褒めてくれてるし、、、
昔我家には、
屋根からネコが数匹来てくれたのを思い出したよ。
僕以外で”風鈴はもうつるさない”を何度か聴いてくれる人は
あまりいないと思ってたよ。ありがとう。
この曲が定期演奏会のレコードに収録してもらえた時は
本当にうれしかったけれど、
ともに分かち合う人がいなかったよ。
ホームページを通じて
何人かに聴いてもらえるなんて不思議だね。
以上、まずは御礼まで!!!