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花の霞に(和歌山大学寮歌)

独創的なものをと当初は考えていましたが、
やはり懐かしむためにも模倣もいいだろうと、
昔の記憶をたどりながら作りました。

前奏は近藤先輩編曲のマンドリン合奏をイメージして作りました。
いい加減な記憶ですから改編ご容赦ください。
歌いやすい5度低いEm版はここから
Amはギターなどであわせやすいと思って!

歌詞はあちこちの資料を見ながら、
広辞苑で何回か確認してフリカナ付きで掲載しました。
2005.11.22 19:45

昭和15年に本曲が作曲され寮歌として世に出たわけですが、
作詞者の親友として寮歌集作成にかかわられた高商18回の大先輩から
当時を回想されたメールをいただきました。
歌詞の後ろに紹介しております。

作詞:吉田正巳   作曲:打垣内正 昭和15年)
(吟唱)
仰げば星斗蘭干として 永遠の真理をささやき
黒潮は濤々として 我等が熱情を語る
   此処自然の恵み豊かなる 紀伊の一角名草が丘
我等が四星霜の春秋を送る
歌は悲しき時の母ともなり
楽しき時の友ともなる
いざや歌わんかな 我等が熱血の寮歌
花の霞に、一、ニ、三
 
1. (花)
  花の霞につつまれし
    玉の台の欄干に
      燦爛の夢今たけて
        門出を祝ふ盃や
          若き眸のぬるるかな

 ハナノ カスミニ ツツマレシ
   タマノ ウテナノ オバシマニ
     サンランノユメ イマタケテ
       カドデヲ イワウ サカズキヤ
         ワカキ ヒトミノ ヌルルカナ
2. (春)
  春雨煙る名草丘
    鐘の響きに暮れ行けば
      永久とけぬ春愁を
        誘ふ有情の花ふぶき
          輪廻のすがた偲ばるる

 ハルサメ ケムル ナグサオカ
   カネノ ヒビキニ クレユケバ
     トコシエ トケヌ シュンシュウヲ
       サソウ ウジョウノ ハナフブキ
         リンネノ スガタ シノバルル
3. (夏)
  青葉を渡る爽風に
    甍もにほう伏虎城
      樹林の小路さまよへば
        遥かに仰ぐ大空の
          白き飛雲に啓示あり

 アオバヲ ワタル ソヨカゼニ
   イラカモ ニオウ フッコジョウ
     ジュリンノ コミチ サマヨエバ
       ハルカニ アオグ オオゾラノ
         シロキ ヒウンニ サトシアリ
4. (秋)
  野辺の芒に秋たけて
    空はろばろとなき渡る
      孤雁の影を眺めては
        熱き心に若人が
          懐郷の歌うたふかな

  ノベノ ススキニ アキタケテ
    ソラ ハロバロト ナキワタル
      コガンノ カゲヲ ナガメテハ
        アツキ ココロニ ワコウドガ
          カイキョウノ ウタ ウタウカナ
5.(冬)
  静寂の冬の小夜ふけて
     弦月淡し和歌の浦
        独り汀に佇めば
          寄せては返す片男波
            深き思索を誘ふなり

 シジマノ フユノ サヨ フケテ
   ユミヅキ アワシ ワカノウラ
     ヒトリ ミギワニ タタズメバ
       ヨセテハ カエス カタオナミ
         フカキ オモイヲ サソウナリ
6.(真理)
  真理の道は遠けれど
     古賢の教へひもときて
      朝な夕なに吟ずれば
     
   希望の光ほのぼのと
             神秘の闇を照らすかな

 マコトノミチハ トオケレド
   コケンノ オシエ ヒモトキテ
     アサナ ユウナニ ギンズレバ
       キボウノヒカリ ホノボノト
         シンピノヤミヲテラスカナ

7.(友)
  ああわが友と円居して
     廻る四星霜の春秋の
     つきぬ理想を語りつつ
     
  友情の盃をくみ交はす
            今宵宴の花むしろ
              今宵宴の花むしろ

 アア ワガトモト マドイシテ
   メグル ヨトセノ シュンジュウノ
     ツキヌ リソウヲ カタリツツ
       ナサケノ ツキヲ クミカワス
         コヨイ ウタゲノ ハナムシロ
          コヨイ ウタゲノ ハナムシロ


2007年3月24日 
大学の大先輩K.F様からメールをいただきました。
            私は昨夜、思うことがあって、和大寮歌『花の霞に……』を検索していたところ、
            貴方様のホームページに出合い感激いたしました者であります。
            今朝からも、和大の皆様の美しいマンドリンのメロディーを、繰り返し繰り返し聞きながら、
            一人で涙を流していました。
            と申しますのも、作詞の吉田君は、
            学生時代からの親友で、卒業後も文通は欠かしていませんでした。
            さらに、この詩が寮歌として生まれる過程において、
            私も係わっていたということもあり、思い入れ一入なものがある次第です。
            細かいいきさつは省略しますが、
            『柑蘆』1997年版が手許にあれば、ご覧頂きたいと思います。
            なお、打垣内先生の追悼記事は、同じく1996年版にあります。
            吉田君は先生の後を追うようにして逝ったのですね。

            突然、長々とお手間を取らせた非礼を何卒お許しください。

            
私からのお礼メールです。
              
柑芦会会員名簿から高商18回の大先輩と知りました。
              大先輩からメールをいただき恐縮いたしております。
              なんらかの感動に関与できたようでうれしい限りです。

              申し遅れましたが、私は大学17期経済学部のK.Iと申します。
              某信用金庫のコンピュータ一筋に生きたものの、
              名もなく消え去ってしまった我が大学の面汚しかもしれません。
              59歳の時に合併を機に退職し現在61歳の若輩でございます。
              ふとしたきっかけでホームページを開設して
              拙い趣味など露出して恥をさらしております。

              私たち部員が、今も会合の後では必ず肩を組んでは吟ずる「花の霞に」に
              深くかかわっておられたと知り驚いております。
              旧制高校の寮歌に負けない名曲だと思っています。

              偶然でしょうか、
              今朝は我がマンドリンクラブを創設された大学7期生の先輩6名他で、
              早世された7期の先輩宅を十数年ぶりで訪問してまいりました。
              7人の侍と後輩から伝説のように思われている方々でした。
              私のホームページでよく出てくる故中川先輩宅でした。
              実は昨年9月23日、和歌山城の近くでマンドリンクラブ創部50周年祝賀会がありました。
              クラブに多大な貢献をされた先輩宅へのご報告が目的でした。
              リーダーは吉田さんでした。
              メール中の吉田様と思わず勘違いしてしまいました。

              そんな日にうれしいメールが届き私も感激しております。
              私は趣味として音符を操り、編曲にわずかな楽しみを見出している者ですが、
              「花の霞に」の編曲が拙くても感動していただけたのは
              「花の霞に」そのものが持つ魅力だとは十分承知しております。
              それでも原曲のイメージを損なっていないから感激いただけたものと
              都合よく解釈させていただきます。

              『柑蘆』の件ですが、私のホームページの別項に記載してありますとおり、
              1998年に自宅を焼失してしまいすべての思い出が灰燼に帰しました。
              そうでなくとも整理の悪い私のこと、手許にあるはずもありませんが。
              そのうち友人から拝借しようと思っております。

              最後になりました。
              いただきました貴重なメールを「花の霞に」のページに
              匿名ににて掲載させていただきたくご了承をお願いする次第です。
              新たにどなたかへの感動の種になろうかと思われますので、
              この失礼なお願いをお聞き入れくださいますようお願い申し上げます。

              「早春賦」の時期も早や過ぎ去り、
              これからは日一日と暖かくなろうかと思われますが、
              どうかお体を大切にされ桜の春をお楽しみください。

2007年3月25日   大先輩からご丁寧な返信メールをいただきました。

              突然不躾なメールを差し上げたところ、
              早速ご丁重なご返信を頂き恐縮している次第です。
              私は仰るとおり、高商18回生です。
              在学中に太平洋戦争が勃発し、6ヶ月繰り上げ卒業となったため、
              在学期間2年半でした。

              打垣内先生に曲をつけていただき、印刷に回し、
              寮歌集として出来上がってきたのは、
              私たちが3学年になってからのことでした。

              すでに3年生は全員寮を出ていましたから、
              吉田君を含め「寮歌」としてこれを歌った者はなく、
              メロディーも2,3回聞いた程度で、卒業してしまいました。

              私は大阪の会社に就職し、
              独身時代は阪急宝塚線で通っていました。
              ある日、帰りに梅田あたりで友人と一杯飲み、遅い電車に乗っていると、
              隅の方で(電車は空いていました)ある学生がなにやら口ずさんでいました。
              よく聞くと「花の霞」のメロディーでした。もちろん和大生でした。
              その学生に聞くと、逍遙歌やクラブの部歌として、
              よく歌われているとのことでした。
              思いがけぬ所で思いがけぬことを聞き、
              わがことのように嬉しくなった思い出もあります。

              『柑蘆』の件、コピーを送らせてもらいます。
              『花の霞に』掲載の件、異存はございません(ちょっぴり恥ずかしい気がしますが)。

              なにぶん、ご推察どおりの高齢で(来週85歳に相成ります)、
              自分本位な事ばかり述べて申し訳ありません。
              何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。

              ご健闘をお祈りいたします。

              
ありがたくうれしいご返信ありがとうございました。
              ご高齢でネット検索やメール発受信を楽しまれている大先輩を
              六十路過ぎの後輩として非常に誇りに思うと共に、
              これからも頑張る勇気が湧いてまいりました。


              
何度もお手を煩わすことをおそれて返信はご遠慮しようと思いましたが、
              差し上げてしまいました。

              

            
K.F様

              転載をご快諾いただきありがとうございました。
              今回の貴重なエピソードも勝手ながら転載させていただきたく、
              またマンドリンクラブOBのホームページなどでも
              寮歌誕生のエピソードとして折に触れてご紹介させていただきたく
              重ねてお願い申し上げます。

              我がマンドリンクラブに限らず、各クラブ、ゼミ会懇親会でも
              飲み会の最後には男も女も肩を組んで
              元寮生と思われるむくつけき男の前口上付で歌っているようですよ。
              昨年の我がマンドリンクラブ創部50周年式典では、
              私は勝手にギター伴奏にまわってしまい歌えなかったのですが。

              マンドリン合奏で演奏したこともあります。
              そんなことから私もギター合奏として作ってみました。
              歌えるようにとキーも2種類用意しました。
              少し長くても7コーラス分繰り返しました。
              涙していただけたことは私にとっても何よりもうれしいことでした。

              中略(16行)

              何度もお手をわずらわせてしまうことを恐れながら、
              また返信してしまいました。
              ご返信無用にてお読み捨てくださいますよう。

              最後になりましたが、ますますの御健勝をお祈り申し上げます。

              追伸
                『柑蘆』のコピーをお送りいただけるとか、
               お手数をおかけし本当に申し訳ありません。
               楽しみにしております。


2007年3月26日   大先輩K.F様が貴重な資料をお送りくださいました。
               蛇足とご謙遜されていますが興味深いいきさつが書かれていますので、
               お手紙本文もご紹介させていただきます。
               森進一との対比はおもしろいですね。



大学の同窓会誌(1997年版)に掲載されたK.F様の記事です!



大学の同窓会誌(1996年版)に掲載された他の方の記事です!